2017年、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群がユネスコのユネスコ世界文化遺産に登録されて以降、国内外から大きな注目を浴びている「宗像大社」。
2009年に、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群として、世界遺産暫定リストに追加登録され、世界遺産候補に仲間入り。2015年に世界文化遺産推薦候となり、2017年7月にポーランドのクラクフという都市で開催された世界遺産委員会で、晴れて世界文化遺産登録を果たしました。
快挙の裏には、出光佐三の知られざる奮闘がありました。出光佐三は、出光興産の創業者であり、「海賊と呼ばれた男」のモデルとなった人物。宗像出身の出光佐三にとって宗像大社は、昔から特別に崇敬している神社でした。戦後の日本において、第二次世界大戦の影響で宗像大社も荒廃しつつありましたが、そんな危機的状況を目にした出光佐三は、多額の寄進をするなど、宗像大社の再興を目指して尽力していたそう。その甲斐もあって、境内が現在のようなきれいな姿に整備されたのです。
世界遺産登録された世界遺産群の構成遺産は8つ。ひとつめの沖ノ島とは、宗像市から60キロほどの沖合に浮かぶ島。島全体が田心姫神を祭る沖津宮の境内とされ、縄文時代から弥生時代に渡る貴重な石器や土器などの出土品や祭祀遺跡が数多く見つかったことから「海の正倉院」と称されるほど神聖な島です。
世界遺産紹介②は小屋島、③は御門柱、④の天狗岩は、沖ノ島の手前に仲良く3つ並ぶ岩礁で、鳥居の役割を担っています。世界遺産紹介⑤宗像大社沖津宮遙拝所は、神職以外の入島が禁止されている沖ノ島を遥拝するための場所です。
世界遺産紹介⑥の宗像大社中津宮は、宗像三女神の次女神である湍津姫神を祭る神社で、沖ノ島と共通する古代の祭祀が行われていた場所でもあります。世界遺産紹介⑦の宗像大社辺津宮は、宗像三女神の三女である市杵島姫(いちきしまひめ)神を祀る神社で、今日でも神事が行われている場所です。世界遺産紹介⑧の新原・奴山古墳群は、玄界灘を望む丘に保存された古墳群のことで、5 ~ 6世紀に築かれたとされています。
神社の創建は不明ですが、奈良時代に成立した日本最古の歴史書といわれる「日本書記」によると、神社の主祭神である「宗像三女神」が、歴代天皇のまつりごとを助けるよう神勅(しんちょく)を受け、宗像の地に降り立たったと記されています。宗像三女神は、別称「道主貴(みちぬしのむち)」といわれていますが、「貴(むち)」とは最も高貴な神に贈られる尊称。「道主貴」の名を授けられた宗像三女神がいかに位の高い神様なのかが分かりますね。
宗像大社は、宗像市の田島地区にある神社だと思われることが多いのですが、正式には沖ノ島の「沖津宮」、大島の「中津宮」、そして田島地区の「辺津宮(へつぐう)」の三宮を総称して「宗像大社」といいます。3つの宮には、天照大神の御子神として産まれた三姉妹の女神である宗像三女神がそれぞれ主祭神として祭られています。
本来なら各宮を参拝できればいいのですが、長女の田心姫神(たごりひめのかみ)は沖ノ島の沖津宮におり、なかなか参拝が許されません(沖ノ島は一般人の入島は禁止されています)。そこで訪れたいのが、田島地区の宗像大社辺津宮。辺津宮の本殿には三女の市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)がいますが、その奥にある第二宮・第三宮(ていにぐう・ていさんぐう)には、それぞれ長女の神様、次女の神様(大島の湍津姫神〈たぎつひめのかみ〉)が祭られています。辺津宮に参拝すれば、三姉妹の女神様に参拝可能。
また、宗像大社の秋季大祭(毎年10月1~3日)も、宗像三女神にまつわる一大祭事として見逃せません。なかでも10月1日に開催される「みあれ祭」は、沖ノ島の沖津宮と大島の中津宮に祭られている神様を、本土の辺津宮に迎える祭りとして有名。御輿(みこし)を乗せた御座船を囲むように、約200艘もの漁船が玄界灘の海原を疾走する様子は圧巻のひと言。大島から本土の神湊(こうのみなと)港までの海上パレードを見るなら、大島や神湊の港やその近辺の海岸から見るのがおすすめです。一堂に会した三姉妹の女神様に出会える、年に一度の貴重な祭りをお見逃しなく。
世界遺産にも指定されるほど由緒正しい宗像大社で、結婚式を挙げられることをご存知ですか。実は、崇高な雰囲気を漂わせる本殿や清明殿での挙式が可能で、2人だけの挙式や少人数での神前結婚式を考えている方にはぴったり。挙式料は、本殿が10万円、清明殿は7万円となっています。具体的なサービスや写真、お得情報などの詳細については、ホームページでご確認ください。日本で有数のパワースポットとしても名をはせる宗像大社で、新郎新婦の愛を誓うのも素敵ですね。